中国世界遺産

世界第3位の国土を誇る中国は、アジア最大の世界遺産の宝庫です。世界遺産保有数は、2013年現在イタリアに次いで第2位で、世界文化遺産は31件、自然遺産は10件、そして複合遺産は4件、合計45件もの物件が世界遺産に登録されています。

私たちはよく「中国四千年の歴史」といいますが、その名の通り、紀元前17世紀頃に最初の王朝が生まれてから、中国には実に四千年もの歴史があり、現在に至っています。その間、国土の広さ故に多くの民族・宗教が乱立し、様々な王朝が成立しては滅び、波乱万丈な月日を重ねてきました。中国国民の中の90%以上が漢族ですが、それ以外にもモンゴル族、ウィグル族、チベット族、チワン族、満族など、多くの民族がいて、それぞれ独自の言語・文化を持って生活してきました。そのような多様性の中で、その時代時代を象徴する素晴らしい建築物や芸術が沢山生まれたのです。私たちがよく知る「万里の長城」はその象徴的な存在といえます。秦の始皇帝の時代に建設が始められ、明代にようやく完成をみた、全長20,000kmを越える城壁に囲まれた遺跡は比類のないもので、その壮大なスケールに、世界中の誰もが圧倒されるはずです。私たち日本人は、古くから中国の文化に影響を受けながら独自の文化を築き上げてきましたが、中国の世界遺産を見るとき、現代の私たちもまた、その奥の深さ、多彩さに必ず心を奪われることでしょう。

また国土が広いだけに、大自然にも恵まれ、日本では見られない貴重で美しい光景が広がっています。現在中国の世界自然遺産は10箇所ですが、これほどの数の物件が世界遺産として登録されている例は稀です。それだけ、中国の自然は豊かだといえます。中国の自然界には、欧米などの他地域には見られない希少種の動植物が沢山生息し、中国の変化に富んだ地形や気候から、独自性のある素晴らしい景観が形成されています。それらに触れると、他では決して体験できない感動的な世界に導かれていくようです。西部劇に出てくるような大自然もいいですが、中国の自然界には、水墨画に出てくるような、繊細で慎ましい世界があり、それもまた多彩な中国の自然遺産を見る上で大きな魅力のひとつになっています。

中国の世界遺産は、華中地方に特に集中しています。(厳密な定義による狭義での華中というのは、長江(揚子江)と黄河に挟まれた地域を示すのですが、当サイトでは東部を含めたおおよそ真ん中あたりの地域全体を漠然と指し示す意味で用いています)中国人なら誰もが一生に一度は見たいと思う「黄山」、中国五岳の一つである「泰山」、明・清王朝時代に建てられたレトロな住居群が今尚残る「安徽南部の古村落・西逓と宏村」、中国拳法の都「天地之中歴史建築群」、中国最古の王朝・殷の史跡である「殷墟」、道教の聖地である「三清山」、これらは全て見どころに溢れる素晴らしい世界遺産です。

また華僑が築いた独自の文化や、旧ポルトガル時代に築かれた建築群など、オリジナリティに溢れた世界遺産が多くあります。特に、中国でありながらポルトガル時代を色濃く残す「マカオ歴史地区」に行くと、東洋と西洋の交差点にいるような、不思議な感覚におそわれます。その感覚もまた、ほかでは味わえないものです。華南地方にはまた、非常にユニークな建築物が多く見られます。「福建土楼」は、客家と呼ばれる人たちが築いた円形の集合住宅で、中心から外に向かって、何層にも円形の住宅が連なる面白い外観をしています。日本でいうと、欧州風の明治時代の建築物、それらに似た印象を持つ「開平楼閣」は、私たちをノスタルジックな気持ちにさせてくれるところです。

中国の北部、西部は、世界遺産に登録されている物件数こそ少ないのですが、その数に関係なく、多くの見どころがあります。中国華北には、天と交信する場所、中国でも最もスピリチュアルな場所の一つとして知られる「天壇」、古き良き時代の中国そのままの活気溢れる雰囲気を残す「平遥古城」などがあります。そして、内陸西部に行くと、そこにはチベットが広がり、チベット仏教の聖地・ラサには「ラサのポタラ宮と歴史的遺跡群」という世界遺産があります。ポタラ宮は、歴代ダライ・ラマが居住してきた宮殿で、現在もはるか奥地のチベットに多くの仏教巡礼者が訪れています。

世界遺産を通して中国という国を捉えてみると、そこには壮大な歴史やドラマ、自然が広がっていることに改めて驚かされます。中国のもつ数多くの世界遺産は、間違いなく訪れる人を捉えて放さない魅力に満ち溢れています。